移ろい

 

一時停止と巻戻しと再生を擦り切れるまで繰り返したくなるくらい好きな映画のワンシーンがあって、この一年のうちにそれと似たような夜を何度か経験してて、そういう瞬間を神様みたいに上からなぞる夜がすごくあたたかくて気持ち良い。

22歳の誕生日を祝ってもらった帰り道に終電を逃しそうになったから、じゃあ泊まる。いい?と伝えたら「彼氏出来たんでしょ」と返されて、もうこういう事が出来なくなるんだったとじわじわ実感。目で見える行為やものに走ることでしか等価を計れないの、わたしは本当にまだまだ未発達ですね。

 

 

近頃は減らすようにしているものの気は多いほうだし、一目惚れだけで言ったら三万回はしてる。でも夢中になっても三日で夢から覚めるので、つい最近そんな相手も居なくなってしまった‬。

ちやほやされてるうちが華なのかもしれないけど、これはちやほやされてるんじゃなくて、単純にそういう対象でしか見てもらえてないだけなんだろうな。

でも馴れ初めがどうであれ、恋心を抱くきっかけとするには十分すぎるわけで。

 

 

この3年で、私はその場をやり過ごすのが上手くなった。コツは焦点をずらすこと。そうしたらあっという間に一週間が終わる。21年間生きた結果がこれか、と気づいたとき目の前が真っ暗になって、以来ずっと苦しい。日々を繰り返しているだけで私は何もしていない。客観的に見て幸せだとして、恵まれているとして、わたしはこんなのちっとも要らない。悲しいだけだ。もちろん家族も友達も、みんなの未来がどうか明るく輝かしいものであってほしいと心から思う。それでも、みんなの人生はみんなのものであるのと同じように、私の人生は私だけのもので、満たすのは私だ。いっそ不幸で構わないから、私は賭けたい。